イメージ 1伏見稲荷は二つの参道があります。
一つはJR稲荷駅前からの表参道。
JR稲荷駅は、明治12年に開業し、
旧東海道線の通過駅と由緒のある駅で、今でも国鉄最古のランプ小屋が残されています。
ランプ小屋とは、鉄道の客車や駅務、
保線用の照明用ランプや燃料等を収納していた倉庫のことです。










イメージ 2表参道の鳥居の横に狐の像があります。
稲荷神は元々は農業神で、狐は穀物を
食い荒らすネズミを捕食すること、狐の色や尻尾の形が実った稲穂に似ていることから、狐が稲荷神の使いをにない、
境内ではたくさんの狐像を見ることができます。
興味深いのは、狐像がくわえている物です。
伏見稲荷の狐がくわえている物は、
4種類ありますが、正確にはその意味は解らないようです。
伏見稲荷大社発行の『稲荷の信仰 』には「玉鍵の信仰」という一項があります。
それによれば、玉は稲荷神の霊徳の象徴で、鍵は「そのみたまを、身につけようとする願望の象です」と書かれています。

イメージ 3また、玉は倉庫を、鍵は倉庫を開ける鍵を意味してるとの説もあります。
巻物は、知恵を象徴し、稲穂は五穀豊穣を祈願するものとするのが、一般的な説とされています。






イメージ 4参道に戻りますが、もう一つの参道は、京阪電車の伏見稲荷駅からの裏参道です。
こちらの参道は狭くて、両側に商店や
露天が並び、凄く混雑しています。






イメージ 5どちらの参道を進んでも、楼門の前に
出ます。
この楼門は、天正17年(1589)、
豊臣秀吉によって造営されたもので、
高さ15m、京都の神社では一番の高さを誇ります。
向かって右側の南廻廊と左側の北廻廊と合わせて、重要文化財に指定されています。
病床に臥せっていた秀吉の母のために、「命乞いの願文」を送り、平癒祈願が
イメージ 6成就したことから建立したものです。
南廻廊と北廻廊は元禄7年(1694)に造営されたもので、ほぼ同じ大きさです。








イメージ 7楼門の前、左右には狛犬の代わりに狛狐が祭神を護っていて、こちらは宝珠と鍵をくわえています。








イメージ 8楼門の左右には、隋身(ずいじん、ずいしん)が配置されています。
随身とは、平安時代以降、貴族の外出時に警護のために随従した近衛府の官人のことです。









イメージ 9向かって左側です。











イメージ 10楼門を入ると正面に外拝殿
(げはいでん)があります。
外拝殿は、楼門と同時期に豊臣秀吉によって造営され、江戸時代末期の
天保11年(1840)に改築され、
重要文化財に指定されています。
節分祭は、外拝殿で豆まきが行われます。



イメージ 11外拝殿の右側には、「史跡・荷田春満(かだのあずままろ)旧宅」ですが、門は固く閉ざされています。
春満は、代々稲荷神社(現伏見稲荷神社)祀官の子孫で、江戸時代の国学の祖と仰がれています。
春満の後継には、本居宣長や平田篤胤(ひらたあつたね)らが名を連ねています。


イメージ 12旧宅の隣には、荷田春満を祭神とした
東丸(あずままろ)神社が1883年に創建されました。








イメージ 13東丸神社の東側、奥まった所に御茶屋がありますが、非公開です。
この建物は、江戸時代初期に仙洞御所の御庭にあったものを移築されたもので、重要文化財に指定されています。






イメージ 14御茶屋の門は開けられていますので、
内部が見られます。









イメージ 15石段を上がって内拝殿へと向かいます。
内拝殿正面の内拝は、元禄期に本殿に
付け足され、昭和36年に内拝殿が造営されました。
内拝殿奥の本殿は、応仁2年(1468)の
応仁の乱により、山中も含めて境内の
殿社堂塔の全てが焼失し、
明応8年(1499)に再興され、
1999年に修造されたもので、重要文化財に指定されています。

イメージ 16主祭神は、宇迦之御魂大神 (うかのみたまのおおかみ)、実はヤマタノオロチを退治したスサノオの子で穀物の神様です。(中央座・下社)
配神として、佐田彦大神、大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ)、
田中大神、四大神 (しのおおかみ)が祀られています。



イメージ 17佐田彦大神(北座)は、猿田彦神
(サルタヒコ)の別名で、伏見稲荷大社で祀られる稲荷三神(上社・中社・下社の神の総称)の一柱で、現在は伏見稲荷の中社の祭神ですが、本来は上社の神とされていました。
交通安全・道中安全の神徳があるといわれています。(中社)

大宮能売大神(南座)は、巫女の元祖のような神様で、神と人、君と臣との間を執り持って和平円満な関係を保ち、商売繁昌の守護神として崇敬されています。(上社)

田中大神(最北座)は、稲荷神社の御鎮座以前から、稲荷山麓の里人等が奉斎してきた神様と考えられています。(下社摂社・田中社)

四大神(最南社)は、稲荷大神に神人として奉仕した秦氏一族が往古から奉祀してきた神様であろうと推測されています。(中社摂社・四大神)

明日に続く