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仁王門
久米寺は山号を霊禅山、院号を東塔院と号する真言宗御室派、仁和寺の別院で、
西国薬師四十九霊場・第7番、仏塔古寺十八尊・第9番及び
聖徳太子霊跡・第32番などの札所となっています。
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仁王門や仁王像の造立された年代は不明ですが、
仁王像の端整な姿は好感が持てます。
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門をくぐると大塔の礎石が残されています。
寺伝によると久米寺は、元はヤマト政権で軍事部門を担当していた
部民久米部(くめべ)の氏寺として創建されました。
用明天皇の皇子である来目皇子(くめのみこ)が7歳の時に眼病を患い、
兄の聖徳太子の勧めでこの地の薬師如来に祈願し、平癒しました。
その功があって推古天皇の勅願により来目皇子が金堂、講堂、鐘楼、経堂、
大門、五重塔を建立して伽藍となし、皇子自らは来目皇子と称し、
寺は「来目精舎(くめ の しょうじゃ)」と呼ばれるようになりました。
その後、養老2年(718)に天竺(インド)から善無畏三蔵が久米寺に寄留して、
日本最初の多宝大塔を建立し、三粒の仏舎利と『大日経』を塔柱に納めました。
大同2年(807)には空海が諸大弟子と宝塔内で経王を講讃(こうさん)し、
初めて真言密教を宣布しました。
「来目精舎」は後に「久米寺」と改められました。
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大師堂には弘法大師が祀られています。
空海が撰文した「益田池碑銘并序」(ますだいけひめいならびにじょ)には、
「来目精舎」として言及されています。
益田池は平安時代初期の弘仁13年(822)より、高取川に堤防を築いて
水の流れをせき止めて作られた巨大な灌漑用の貯水池であり、
天長2年(825)に完成しましたが、現在は堤の一部が残り、
跡地には橿原ニュータウンが建設されています。
旱魃(かんばつ)の備えと土地の開拓のために造られ、弘仁12年(821)に
空海が改修した讃岐国(香川県)の満濃池の技法が取り入れられました。
この工事には空海は直接携わってはいませんが、変わりに弟子の真円らが
取り組み、完成後の碑銘の揮毫(きごう)は空海が行いました。
また、橿原ニュータウン内の岩船山頂上付近にある
益田岩船(ますだのいわふね)は碑銘を載せた台との説があります。
東西約11m、南北約8m、高さ約4.7mの、亀石や酒船石などと並ぶ
飛鳥の石造物の1つで、その中でも最大のものであり、
奈良県の史跡に指定されています。
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修行大師像
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金刀比羅宮(ことひらぐう)
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不動三尊像と役行者像
誰かにいたずらされたのか、役行者像には塗装されているように見えます。
文化財にいたずらするヤカラのために、寺社が過度の文化財保護を行って、
我々の目から遠ざけることの無いように願っています。
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五重石塔か七重石塔の欠損したものか?
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石仏
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多宝塔は万治2年(1659)に仁和寺より移築されたもので、
国の重要文化財に指定されています。
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不明なお堂
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水子地蔵でしょうか?
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久米仙人像
久米寺には「久米仙人伝説」が残されています。
久米仙人は、欽明天皇の御代(在位:539~571年)、金剛山麓葛城の里に
生まれたとされ、吉野山麓龍門ヶ獄(りゅうもんがたけ)で神通飛行術を取得し、
空中を自由に飛べるようになりました。
その後、百数十年もの間、久米寺に住んでいたと伝わり、聖武天皇が東大寺に
大仏殿を建立する際、勅命を受けた久米仙人は神変不思議の仙術を使い、
国々にある大木大石の数々を三日三夜の内に大仏殿境内まで
飛ばして集めて見せました。
その甲斐あって大仏殿の建立は速やかに成就し、久米仙人の働きに
深く感銘した聖武天皇は、免田30町歩を与えました。
しかし、空中を飛びまわっていた仙人は、ある日、川で美しい女性が
洗濯しているところに遭遇し、その女性のふくらはぎに目がくらみ
神通力を失い墜落したとされています。
この伝説は、『今昔物語』に収録され、『徒然草』にも言及されています。
仙人はまた、衆生の中風と下の病を除くため薬師に誓願をたて、
自ら孟宗竹の箸を作りました。
その竹箸を使うと中風や下の病にならず長寿が得られると言い伝えられています。
あじさいの花一枝をトイレに吊るすと中風封じになるとか、カボチャを
冬至に炊いて食べると中風にかからないといわれます。
あじさいの季節には鐘楼堂横のお休み処でカボチャの酢の物をいただけます。
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鐘楼、右側に久米仙人像、左側は薬壺を持っておられることから
薬師如来像と思われます。
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ここで重要なことに気付きました。
本堂の画像を撮り忘れました。
本堂の画像はこれしかありません。
現在の本堂は寛文3年(1663)に再建され、
本尊の薬師如来像が安置されています。
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観音堂
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金色に輝く大日如来像

神仏霊場・第33番札所の橿原神宮へ向かいます。
続く